2023-07-10

エキサイティング韓国! ~ お店編 ~

 5年ほど前、韓国の昌原(チャンウォン)市という街に用事があって行ったことがあった。上の写真は高層マンションなのか高層団地なのか。「現代」と名前が付けられているところが何ともいい感じだ。韓国にはHyundaiという自動車メーカーがあるけれど、漢字表記では「現代自動車」。「現代」という言葉への意識は、「最先端」と同一な感覚なのかもしれない。昌原市には「新世界デパート」という名前のデパートもあった。日本にはなかなかないネーミングだが、何か新たな発見や出会いを期待させてくれる名前で、直感的な感じがまたいい。

 昌原市は、旧馬山(マサン)市、旧鎮海市、旧昌原市が合併してできた街。そのときは馬山地区(旧馬山市)に数日間滞在した。釜山(プサン)からバスで1時間ほどの場所だが、観光客らしき人影はほぼ見当たらない。「でも、まぁ何とかなるだろう」と楽観的な考えで訪れたのだが、まさかあんな事態に陥るとはこれっぽっちも思っていなかった。なんと英語が全く通じないのだ。

 釜山からバスに乗って馬山駅へ。そこでタクシーに乗ってホテルに向かおうとしたのだが、まず運転手さんがそのホテルの場所がわからないようで、ほかのタクシーの運転手たちに聞いている。ホテルの情報はあらかじめプリントアウトしていたのでそれを見せる。しばらく数人で話した後、「なんとなくあの辺り」という感じの見当はついたようでようやく出発。10分くらい走った後、「おお、これだこれだ!」と言っているような感じで何事か言葉を発して停車してくれた。ここまで、英語はまったく通じていないのだが、何とかホテルに辿り着いた。やれやれ。

 ホテルのフロントは英語が話せるお兄さんがいたので、とりあえずクリア。問題が起きたのはその後の食事だ。ホテルの近くにあったお母さんが1人でやっている食堂に入ったのだが、ここでもまったく英語が通じない。しかも、メニューは全てハングル。文字をいくら眺めても、そこに何が書かれているかは、皆目わからない。仕方ないので、カウンターの上に貼られた数枚の古ぼけて色が薄くなった写真から食べるものを選ぶことにする。ビビンバ丼風の写真を指差しながら「One this one, please.」と言うと、どうやら通じていないらしい。「One」と言い直してみても通じていないようなので、人差し指を上に向けて伸ばしてもう一度「One」と言ったら、お母さんはニコッと笑って何ごとかを言った後、厨房に入っていった。ようやく通じたようだ。しかしながら、さすがに「One」すら通じない状況に、かなりブルーな気分になった。英語はそれなりに話せるし読めるので、それまで言葉であまり困ったことはなかったが、見る文字もまったく分からず、聞く言葉、話す言葉も「アニュハセヨ~」以外はまったく不能。経験したことがないほど心もとない状況で、その後の馬山滞在中の数日間、食事をするのが鬼門となったのは言うまでもない。

 一度、タクシーに乗ってケータイ(当時持っていたのはガラ携)で見せた場所と全く違う場所に連れていかれたことがあった。ロッテのデパートを指示したのに、なんだか違う場所で「着いたよ」(多分こう言っていた)と言われたのだ。何がどうなっているのか事態がよく呑み込めず、とりあえず車を降りた。よく見ると、近くにロッテのスーパーマーケットがある。デパートとスーパーマーケットのロッテ違いで、とんでもなく遠い場所まで運ばれてしまったのだった。この運転手さんは本気で勘違いしていたと思われるが、運転手によっては明らかに遠回りしたり、道がよくわかっていなかったりと、料金が安い反面、なかなか気が抜けない。ちなみに、ロッテの創業者は韓国出身で、韓国でかなりの投資をしてきたようだ。ロッテ関連の施設をあちこちで見かけた。

 しかし、そんなこんなといろいろあったが、馬山は非常にエキサイティングな街だった。駅から延びる歩道にはこんな光景。野菜やら、鍋やら、中古の衣類やらが雑多に広げられ、売られている。

 駅に隣接した一角、商店街のような場所では露店や半露店のようなお店が並ぶ。

 イワシっぽい小魚の干物はよく見るけれど、

カエルの干物は生まれて初めて見た。

 その前には、生きているドジョウとカメ。ドジョウは日本でも食べるけれど、カメも食用なのかなぁ…?

 こちらはたぶんウナギ。生きたまま売っている。新鮮なのはマチガイなし!

 沖縄の公設市場が大好きなのは過去のブログ「沖縄の平和通り界隈が好きなんです 」に書いているところだが、観光客がほとんどいない馬山の魚市場は、まさに「市民の台所」といった雰囲気で、見たこともないような食材が並んでいたり、空気を送るポンプで泡をぶくぶくさせながら魚などが売られていたりと、ぶらぶらするだけでなんとも楽しい。

 豚肉の総菜屋さん。沖縄とは似ているようで、ちょっと違うようで。甘辛く煮たような半分に切った豚の顔などが並んでいる。なんともおいしそう。

 鶏の足とおぼしき山。だし用なのか、食べるためのものか、聞きたくても言葉が通じないので何に使うのかはわからずじまい…。

 ブクブクしている赤い器の中央はコウイカっぽい小さめのイカ、右はエビ、奥は小さいタコだ。

 磯ガニっぽい小さなカニ、エビ、ナマコ、貝のほかに、オレンジ色のものはホヤだろうか。手前の白く長いものはユムシ。北海道でも石狩市の浜益などでは冬の海が荒れた日に海岸に打ち上げられるらしく「ルッツ」と呼ばれ地元では食されてされているようだが、同じく北海道の日本海に面した留萌で育った僕は見たことはないし食べたこともない。一般的には流通せず、局地的に食べられている食材だが、韓国では「ケブル」と呼ばれているようで、こんな感じで売られているのにビックリ。

 日本の一般的な魚屋さんだったらイカやタコ、エビなどは氷の上に置かれていたりするが、海水につけられたりしているだけで店頭に並んでいて、新鮮そのものといった感じで見ていて楽しい。

 こちらは高級食材のアワビ。ホテル滞在なので食べようもないのが何とも残念な限りだ。

 魚市場に行く途中の道端でもこんな光景が見られて、歩いていて退屈しない。

 栗を大量にトラックに積んで売っていて、通りすがりの人に試食を勧めたりしている。こんな光景を眺めながらぶらぶらと歩いていると、古き良き時代の日本を見ているようで、その底知れぬパワーに「アジアチックで実にいい!」なんて思ったりする一方で、韓国はやっぱり勢いのある国なんだなということを実感したのでした。

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