2023-09-09

夕日と朝日

よく晴れた夏の日。
久しぶりに海に沈む夕日を見に行く。
どれぐらいぶりなんだろう、海で夕日を眺めるのは。
最後に見た記憶もないほどだ。
太陽からまっすぐ、僕らに向かって伸びる橙色の光の筋は、太陽へと続く光の道だ。

そんなキラキラとした光の道も、夕日が海に沈み始めるとゆっくりと消えて、
夕焼けを映す雲が紅く染まっていく。

夕日は寂しくなるから、あまり好きじゃない。
夕日よりも朝日が好き。元気が出るから。
若いころはそうじゃなかったんだけど…。

君の言葉に「はっ」とする。

歳を重ね、1日1日が終わってしまうことに、
なんともいえない焦りとやるせなさが滲んできてしまうようになった。
太陽が沈み、夕焼けが終わり、あたりを夜が包み始めるとき、
言いようのない寂寥感が背中を覆い始める。

そして朝、深い闇が徐々に光を取り戻し始める。
空が白み、朝日が顔を出す。
すべてのものが生気を吹き込まれたかのように、いっせいにきらきらと輝き出す。
そんな朝の一瞬一瞬に、これから始まる今日へのささやかな希望を感じる。

君も同じように、そんな思いを抱いているのだろうか。
燃え立つような夕焼けを見つめる君の横顔を、気づかれないように、そっと横目で覗き込んだ。

(撮影地:北海道留萌市)

コメント2件

  • めんこちゃん より:

    夕日もきらきらするんですよ!
    見る者の状況と気持ちで随分印象が変わるものなんですね。
    最近、改めて気付かされました。
    素敵な夕日と朝日に出会えますように!

    • scenes note より:

      めんこちゃんさん
      コメントありがとうございます。
      そうですね。自分の置かれている状況やそのときの感情、気持ちなどで物事の見え方は確かに違って見えますよね。
      目に映るものすべてが、きらきらするような心持ちがあれば、もっと楽しく生きられるんでしょうね。
      夕日も朝日も、どっちも好きになれるような心持ちでいたいものです。

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