2023-12-28
雪の降る街
スーパーの玄関横にテントが立ち、中では男性2人がしめ飾りや門松などを並べ始めている。もう1年も終わりなんだなと、ため息がもれる。子どものころは冬休み入り、お正月を控えたこの時期は、なんだか賑やかで楽しげな雰囲気にワクワクしていたけれど。
スーパーの店内には数の子やら、かまぼこやら、正月用の食材が並んでいる。家族連れがにぎやかに話をしながら品定めをしている。正月だからといって年越しそばを食べるだの、おせちを食うだの、初詣だの、これといった特定の習慣のない僕は、いつもと変わり映えのしない牛肉コロッケと鶏のから揚げの半額総菜をかごに入れる。
買い物を終え外に出ると、雪がちらつき始めた。ほんの少し前までは青空が広がっていたというのに。「冬の天気はこれだから…」と、誰に言うともなくひとり悪態をついてみる。歩いて帰る道すがら、街灯がともり始めた。雪は時間とともに、ずんずんとその量を増していく。前を歩く、腰の曲がった女性の背中にみるみるうちに降り積もる。すれ違った、若いお母さんが引くそりに乗った女の子の帽子と肩、足の上にも厚く降り積もっている。
ふと、遠くの街で暮らす君の顔が頭をよぎる。今、君の街でも雪は降っているのだろうか。それとも晴れていて、きれいな夕焼けが広がっているのだろうか。久しぶりに今夜、君に電話してみよう。
今年もあと何日かで終わる。年が変わっても、特に何かが変わるということもないだろう。鉛色の空の下で、雪が街を真っ白に覆っていく。
(撮影地:北海道旭川市、深川市)
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