2023-04-07

見えるものの向こう側に

飛行機に乗ると、小さな窓から見える景色に、いつも思うことがある。
分厚く鈍い鉛色の雨雲が空を覆っていたとしても、その上には必ず青空が広がっている。

快晴の青空を見上げて、白い月が見えたとき、ふと思い出すことがある。
この青空には、実は星が瞬いている。今は明るくて見えないけれど。

春が近づいてくると、あらためて感じることがある。
静まり返った真っ白な雪の下では、春に命を爆発させようと、植物たちが芽吹く準備を着々と進めている。

最近、ある写真を探そうとアルバムを開いてみた。
下降気味の毎日に、近ごろ思い出すことといえば、うまくいかなかったことや、辛く憂鬱な記憶ばかりだったけれど、アルバムの中にはたくさんの笑顔があって、たくさんの楽しい思い出がよみがえってくる。

今の自分には見えないけれど、本当は間違いなくそこにある。
目の前にある、目に見えるものの向こう側には、実は全く違う景色が広がっている。
ただ、今の僕には見えないだけ。

こんな星空は日中にも広がっているはずなのに、暗くなった夜にしか見ることはできない。
見えるものばかりにとらわれず、その向こう側にあるものに思いをはせてみる。
ほんの少しだけ、希望の光が見えたような気がした。

(撮影地:北海道留萌市)

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