2023-05-15

沖縄のバス停には時刻表がなかった?

 今からちょうど35年前。僕が沖縄に住み始めたころ、バス停には時刻表がなかった。僕が使ったいくつかのバス停にたまたまなかっただけなのか、県内すべてのバス停を調べたことはないので確かなことは言えない。あるバス停と、ないバス停があったのかもしれないが、僕自身は時刻表を見たことがなかった。どこのバス会社のどこ行きの何番のバスがとまるのかとか、系統図のような表示はあったが、何時何分にどのバスが来るのかはわからない。渋滞がひどく、バスが来る時間なんてあってないようなものだった状況が関係しているのかもしれない。いつくるのかわからないバスを、あのビシビシと降り注ぐ太陽の下で待っていなければならなかった。ただ、バスターミナルにはあったと記憶している。

 国際通りで初めてバスを待ったとき、隣で額に汗をにじませながらバスを待っている中年の女性に「時刻表はないんですね」と話しかけたら、「そのうち来るはずよー」みたいなことを言われた記憶がある。常識というか感覚の違いの大きさにかなり驚いて思いっきりカルチャーショックを受けたが、それはそれで「これぞ沖縄」感満載な状況であった。

 それが、いつごろからなのだろう、バス停に時刻表が貼られるようになった。見るバス停すべてに貼られている。これにもやっぱり驚いた。「とうとう貼っちゃったか…」と、なんだか少し「内地」っぽく、「本土」っぽくなってしまったようで、ちょっぴり寂しい気分になったのを今でも憶えている。

 国際通りに「モノレール建設予定地」と書かれた古ぼけた看板が立ってはいるものの、モノレールが走る気配はみじんも感じられなかったころの話だ。

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