2023-09-29
朝霧の向こうに
秋の夜明け前、
厚いもやが大地を厚く濃く包んでいる。
視界がまったくきかず、
周囲の状況は、
まったくうかがい知ることはできない。
でも、この厚いもやの上には、
間違いなく、
青く晴れわたった空が広がっている。
僕にはわかっている。
目には見えないけれど、
頭の上には青空が広がっているんだ。
太陽が昇り、地表が暖められると、
パーッともやが上がり、
晴れ渡った大地と、真っ青な空が広がるんだ。
でも今日は、太陽が昇っても一向に、
もやが晴れることはない。
太陽が昇り、1時間、2時間、3時間。
もやはまだまだ動かない。
いつか、もやが上がるのを、
信じてじっと待つ。
日の出から4時間ほどが経ったころ、
周囲の明るさが増し始めた。
突然、空気が動き始める。
うねるように、白いもやが空に向かって昇っていく。
あっという間に視界が開ける。
太陽が照らし、暖められた地表から、
ゆらゆらと水蒸気が立ち昇る。
頭の上には、思ったとおりの真っ青な空が広がっていて、
もやに白くかすむ山並みが遠くに見えている。
目に見えないけれど、
間違いなくそこにある。
そんなものを感じながら、
時には信じながら、
そして、
少しだけ確信に満ちながら、
前に進んでいければ、なんて考えていた。
(撮影地:北海道上富良野町)
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