2023-11-24
落ち葉の小道
森の中の落ち葉の小道をゆく。
一面を埋め尽くす大量の落ち葉が、
短かった秋の終わりを告げている。
うわっ、またダメだったぁ…。
風が吹いて、ひらひらと舞い落ちる
木の葉を手でつかもうとする君から、
楽しげなため息が漏れる。
子どもみたいな飾らないしぐさに、
心がほどけていく。
森の中では、それぞれが思い思いに、
過ぎゆく秋のひとときを楽しんでいる。
少しかしこまった服装の女性が、
湖を見渡せるベンチにひとり腰掛けて、
ぼんやり遠くを眺めている。
若い男女は腕を組んで微笑みを交わし、
小声で話しながら通り過ぎていく。
子どもたちは棒切れを手に駆け回り、
木の枝でさえずる鳥たちが驚くほどの
にぎやかさでずんずんと進んでいく。
「ねぇねぇ、見て見て、お面みたーい」
ちょうど目のように穴の開いた大きな
朴の木の葉っぱを顔に当てながら、
お父さんに向かって女の子が笑う。
小春日和のやわらかな秋の日差しが
木々に、落ち葉に、みんなの上に
降り注いでいる。
それぞれのあたたかな秋の一日。
もう二度とやってくることのない、
たった一度きり一日。
(撮影地:北海道苫小牧市)
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