津堅島の海にて

　「赤瓦とシーサーと青い空 ～その２～」に載せた沖縄県津堅島のシーサーを撮ったのは、25年くらい前に息子と2人でキャンプに行ったときのことだ。「たしか津堅島で新しい屋根に載ったシーサーを撮ったはず」と探していたら、記憶どおり当時のポジフィルムが出てきた。津堅島はニンジンの産地として有名で、ニンジン畑が広がっている。写真はないが、公園にあった展望台のような施設もニンジンを模したデザインで、息子と「なんじゃこりゃ」と笑ったのを憶えている。

　津堅島では誰もいない、何の施設もない砂浜にテントを張り、２人で１泊した。まだ小学校に上がる前の幼い息子が、サンゴのかけらを集めたり、流れ着いた流木で何かしらのものをつくったり、砂に絵をかいたりして遊んでいる。手にしているビニール袋が、なぜか北海道滝川市江部乙の「小林のジンギスカン」の袋だというところも、なかなかいい感じだ。

　島には港の近くにお店があって、テントを張った場所からは結構な距離があった。そこに買い物に行った帰り道で、息子がはいていたサンダルのストラップとかかとがこすれて、皮がむけて血が出てしまったのだが、父と２人きりという状況からか、いじらしくも息子が泣かずに我慢して歩いていたのを憶えている。このフィルムをスキャンしながら、なんかいい時間だったなぁと懐かしく思い出していた。