夕焼けなのか、朝焼けなのか

　北海道の五色岳から黒岳までを友達と２人で９月に縦走することになって、沼ノ原から登って五色岳までは上がったけれど、思いがけないほど早い積雪に遭って、その先を断念したことがあった。その日は前日までに降った雪で、標高の高い場所では例年にない早さの積雪状態になっている予報が出ていて、下から見上げても確かに頂上付近は白くはなっていたのだが、実際に上がってみたらもうビックリ。あたり一面真っ白で、しかも結構な深さで積もっている。雪の降り始めは薄く積もっただけでも、山は真っ白に見えるので、たいしたことはないだろうとたかをくくっていたのだが、見事に裏切られた。

　五色岳の頂上を過ぎたあたりで少し背の高いハイマツの下をくぐらなければならない場所があったのだが、まだ早い時期の重たい雪が載ったことでハイマツが低くなり、ほふく前進状態で進まねばならなくなった。そのうえ、枝が雪の重みでザックに引っかかってなかなか前にも進めず、体力をかなり消耗してしまい、結局泊まるはずだった忠別岳の避難小屋がすぐそこに見えているのに前進を断念。その日は雪が載ったハイマツの上にテントを張って寝た。冬の装備はさすがに持っておらず、次の日にそそくさと山を下りた。

　トップの写真はそのときに撮ったものなのだが、朝なのか、夕方なのかが判然としない。夕方に打ちひしがれて撮ったような気もするし、次の日の朝、きれいな朝焼けに「チッ」と舌打ちしながら撮ったような気もする。雲のせいで山の形も判然としないので、方角もわからない。朝焼けなのか、夕焼けなのか、どっちかはわからないけれど、きれいだから載せちゃいます。

（撮影地：北海道上川町）