2023-04-02

ついにラストラン JR留萌本線 留萌~石狩沼田間

 2023年3月31日、JR留萌本線の留萌~石狩沼田間がいよいよ廃線の日を迎えた。お昼のNHKニュースには大勢の鉄道ファンが留萌駅に詰めかけている様子が映し出されていた。3月18日からは通常の1両に増結して2両編成で運行しているようで、最終日には4両編成での運行だという。いつものことながら、廃線間際の熱狂ぶりは何とも皮肉なことだなと感じてしまう。

 確かに、あの路線に未来永劫、列車が走る姿が見られなくなるのはとても残念なことだし、その姿を最後に見ておきたいという気持ちは同感だ。けれど、どうしてもやりきれなさを感じてしまうのは僕だけではないだろう。

 午前中は廃線を悲しむかのように雨がそぼそぼ降っていたが、午後には止んで青空が広がった。僕はまず峠下に向かう。以前、峠下駅に居合わせた鉄道ファンの方から聞いた、高い場所からの列車交換を撮影しようと思ったからだ。峠下駅は複線になっていて、上下線がすれ違うために待ち合わせる列車交換を行う留萌本線で唯一の駅なのだ。16時42分発の列車を撮るため、駅近くを走る国道の駐車帯に車を止めて、道路脇にある小山を見上げると、既に何人かの鉄道ファンが三脚を立てており、駐車帯にもこれまで見たことがないくらいのたくさんの車が止まっていた。

この小山のてっぺん付近から撮影する

 時間が経つにつれ人が増え、列車が来るころには周囲は20~30人くらいにはなっていた。近くの踏切周辺にも人だかりができ、駐車した車が道路にはみ出したりで、パトカーが数台行ったり来たりしていた。高いところから見る列車もなかなかいい感じで、駅にもたくさんの人がいるのが見えた。

上り線(深川行き)到着
下り線(留萌行き)到着
上下線が並んだ
下り線(留萌行き)が動き出す
両方向ほぼ同時にポイント(切り替え部)に乗る

 やっぱり2本の列車がこの小さな駅で交差する瞬間っていうのは、どこか人間的で、ドラマチックなもんだなぁと感じてしまう。こんな光景も、もう見納めになる。

 次は留萌駅に向かう。駅の前には長蛇の列ができていて、駐車場のスペースを半分ほど占拠していた。どうやら列車に乗るための行列のようだ。残すところ列車の運行は2本だが、最終日は4両編成ということで乗れる人数も多いせいか、結構な人の数だ。車を止めるスペースがないので、仕方なく少し離れた道の駅るもいの駐車場に入って駅まで歩く。

18時20分発の深川行き
出発を待つ20時20分発の深川行き最終列車
深川行き最終列車と駅舎

 最後の出発の時を待つ最終列車をカメラに収め、再び峠下駅に向かう。大和田と藤山の2駅を除く各駅で、最終列車のお見送りイベントが予定されていて、峠下駅では地域の方々がこんなものを準備していた。なんだか、じ~んときてしまう。

 最終列車がホームに着き、列車の中を見てみると満員状態。車窓を眺める人、写真を撮っている人、スマホをいじる人、立っている人、座っている人、それぞれの思いを胸にラストランを楽しんでいるようだ。

 そして、最後の出発。くしくも、見上げると満天の星空。列車はいつもと全く変わらず、夜の闇の中へと消えていった。ガタンゴトン、ガタンゴトン…。この先、車輪の音がこの地に響くことはもうない。

留萌本線最後の列車交換
深川行きが遠ざかると、留萌行きがゆっくりと動き出した

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