2023-12-26
涙雪
大粒の雪が空から舞い降りる。
道端の街灯に照らされながら地上に降り注ぐ。
もう師走だというのに、
街はひっそりと静まり返っていて、
家々からはあたたかな明かりが洩れている。
帰り道、ふと立ち止まり、
幼いころからよくやっていたように、空を見上げてみる。
僕に向かって降りしきる雪。
夜空に吸い込まれていくような、
高く、遠くまで飛んでいけるような、
小さいころのあの感覚がよみがえる。
顔に落ちた雪がとけて水滴になっていく。
吐く息は白く、冷気が濡れた頬を刺す。
誰の手も届かないほど高く、遠くまで飛んでいけるなら…。
涙が目尻を伝い、流れ落ちる。
雪は絶え間なく降り注いでいる。
何もかもを包み込み、覆い尽くすかのように。
僕に、そして遠くの君に。
(撮影地:北海道深川市)
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