2023-04-14

桜の季節

 今年は例年になく、全国的に桜の開花が早かったようだ。僕が住む北海道も例外ではないようで、函館では4月14日が開花日となり、平年より14日も早く、最早記録を4日も更新したという。

 北海道で桜というと、僕の勝手なイメージだが山桜という印象が強く、山の中にぽつんぽつんと咲いているのが美しいと感じていたのだが、10年ほど前の4月に富山市に行ったことがあって、その印象は一変した。桜並木が街中のあちらこちらにあって、桜がある風景というのが何も特別なものではない、日常に溶け込んでいるといった感じなのだ。北海道であれば、公園や郊外などには盛大に咲いていることはよくあるけれど、日々生活しているエリアでこんなにもたくさんの桜が咲いているんだと本当に驚いた。

 特に松川の桜はなんとも美しく、川べりの桜回廊とも称すべき並木から、花びらがひらひらと舞い落ちて水面で漂う光景は見飽きることがなく、カメラを片手にあちらこちらぶらぶらと歩きながら1日中眺めていた。それはそれは、とても新鮮な体験であった。

 日中の光に照らされた桜は周囲とのコントラストが本当に美しく、夕方になり太陽が傾きかけると優しい光をまとい、また別の表情を見せれくれる。夜にはライトアップされた夜桜が川面に映り込み、光のページェントが広がる。

 北海道に生まれ育った身としては「国花」といわれても、そこまでの実感はなかったのだが、この風景を見て「国の花」とされていることがストンと胸に落ちてきた。本州の人にとっては、とても身近なものだということに、若干のカルチャーショックを感じたのを憶えている。

 あと、桜の開花期間がこんなにも短いということにもあらためて驚かされている。若いころは「桜=花見」くらいにしか思っていなかったのだけれど、年齢を重ね、写真をじっくりと撮るようになってはじめて、そんな当たり前のことに気付かされた。風が吹けば散り、雨が降れば散り、という具合いに「あっ」という間に散ってしまう。そんな「はかなさ」も、日本人の心を揺さぶるひとつの要素なのかもしれない。

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