2023-04-18

赤瓦とシーサーと青い空

 沖縄の住宅の屋根や門柱には、だいたいシーサーが置かれている。魔よけとして右には口を開けているオス、左には口を閉じているメスの2体セットが通例だ(オス、メスの区分については諸説あるようですが…)。伝統的なオーソドックスなものから、ちょっとかわいい感じのものなど、住宅街をぶらぶらと歩いていると、いろんな表情、いろんなスタイルのシーサーがあちらこちらにいるので退屈しない。特に沖縄特有の赤瓦の屋根の上にシーサーがいて、その後ろに真っ青な空が広がっていると「あぁ、いいなぁ」と文句なしに沖縄を感じてしまう。あのなんともいえない独特な空気感は、ほかの土地にはない唯一無二のものだろう。

 昔、沖縄のお土産屋さんで売っていたシーサーは伝統的なオーソドックススタイルのものばかりだったが、現在ではいろんな色、形、表情のシーサーが作られていて、こちらも見ているだけで楽しい。そして、見ているとついつい手が伸びて、最後には買ってしまう。我が家にもそうやって買われてきたシーサーが何体かいるが、魔よけとしての効果を十分に発揮してくれているかはちょっぴり疑問だ。

 しばらく沖縄には行けていないので、ここに載せた家のシーサー以外の写真は、直近に訪れた10年前ほどに撮ったものだ。フジのモノクロフィルム「ネオパンプレスト」をアニュアルカメラに詰めて、糸満市の住宅街をぶらぶらと歩いた。沖縄といえばもっぱら国際通りとか、美ら海水族館とか、〇〇ビーチとか観光地がクローズアップされてばかりだが、僕にとっては普通の住宅街だったり、狭い路地だったり、昔からある市場だったり、小さな商店だったり、海で釣りをする光景だったり、日常の景色のほうが絵になるというか、「おおっ」と思う場面がたくさんある。カメラを首から下げて、ぶらぶらと歩きながら、日常の一場面にレンズを向けるのがとっても楽しいし心地いい。それはやはり、ほかのどこにもない「沖縄ならでは」な断片が、随所にあふれているからに違いない。

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